センター長 齊藤 成彦

激甚化・頻発化する自然災害、深刻化する気候変動、人口減少社会の到来など、地域が抱える課題は多様化・複雑化しています。山梨県では、東海地震や、糸魚川-静岡構造線断層帯および曽根丘陵断層帯などの活断層による地震により、大きな被害が生じることが想定されています。また、全国的に頻発している台風や局地的大雨による被害が、山地の割合が高く河川の数も多い山梨県で生じる恐れもあります。さらには、宝永噴火を最後に約300年も生じていない富士山の噴火も警戒されています。これらの自然災害による被害状況は地域の特性によるところも大きく、地域に根差した防災や減災の取組みが重要になります。一方、道路やトンネル、河川の管理施設、上下水道に関する施設など、高度経済成長期に整備された社会基盤施設(インフラ)の多くは老朽化が深刻化しています。橋の崩落などが生じると、人命に関わるだけでなく経済活動への影響も懸念されており、インフラの健全性を正確に診断し、適切な修繕によるインフラの長寿命化が必要とされています。人口減少社会への突入も相まって、地域の持続性が大きな課題となっています。

本センターでは、地域が抱える様々な課題に対して、「地域のシンクタンク」、「地域をまもる人材育成」、「地域連携の拠点」を活動の柱に据えて、地域防災の推進、都市環境の維持と向上、地域インフラの計画立案や維持管理に対する支援など、専門知識の提供や専門家の派遣などを行っています。また、山梨県内の行政機関や企業との連携により、持続可能な地域づくりに積極的に貢献することを目指しています。本センターの設立から10年が経過しました。今後も引き続き、最先端の研究成果の還元や地域における人材育成の拠点としての役割を担っていきます。

山梨大学 地域防災・マネジメント研究センター センター長
齊藤 成彦